企業カウンセリング、経営者の事務サポーターのオフィスりん

ホーム > 趣味のお話 > わたしのフィーリングとヒーリング

わたしのフィーリングとヒーリング

~星の生まれる夜に~「百年の森の物語」

 森じいさんが木陰に腰をおろし、「さあて」と言うとお話の始まりです。みんなはおしゃべりをやめて、森じいさんを囲んでまぁるく座りました。

 

 「この間の冬は、ずいぶんと寒かったなぁ。でも、寒ければ寒いほど良いこともあるのだよ」

 

 森じいさんの家は、町はずれの道を、ずんずん、ずんずん進んで行った森の中にあります。

 森の木も寒い、シカもリスも寒い夜のことです。

 誰もいない、何も聞こえない。みんな眠っています。

 おじいさんは、ベッドの中で耳を澄ませています。

 

「こういう夜には、きっと音がするのさ。星の赤ちゃんが生まれて、涙のようなしずくが降りてくる音さ。昔から、言われてきたことなのだから、きっとそうなのだよ」

 冬の風がなにもかもを吹き飛ばして、寒さだけが残った空は、ほんとうにきれいです。そんな夜空で星は生まれます。

キーン、キーンと氷を震わせるような音が聞こえてきます。遠くからほんの少しでもこの音が聞こえると、森じいさんはスキップするほどうれしくなります。

「おばあさん、おばあさん。ほら、今年も始まったぞ。声をかけても、決まってうちのばあさんはグゥグゥ寝ている。しかも毎年、いびきの音が大きくなってね」

 しかたがないので、窓のそばまで行き、さっきよりも早くなったキーンキーンという音を聞いています。

 

 その頃、森の木は思いっきり背伸びをしています。生まれたての星からこぼれたしずくを、たくさん受け止めるために。そして、しずくをもらった木は、シーンシンと歌います。

 しずくが、幹いっぱいに満ちてきます。

 しずくの沁み込んだ木は、太陽が特別に抱きしめてくれ、春には、強く大きく育ちます。

 

「寒い冬の夜には、夜明けまで星が生まれる。だから、朝になったら感謝のお祈りをして出かけるのだよ」

 森の中を太陽がのぞき込む前に、森じいさんは、森の木を見て歩きます。

 顔見知りの木に、幸せのしずくを分けてほしいと声をかけます。すると木は、ちょっとカラダを揺らせ、おじいさんのカップは幸せの水でいっぱいになっているのです。

「これを温めて、ばあさんと一緒に飲むのが楽しみでね。そうして、次の冬までしっかり働けるのさ」

 

 お話がおわると、森じいさんは大きな声で笑いました。その声は、草を刈ったばかりの森の中に、どこまでもいつまでも響いていました。